もちろんぼくは下る方。

人間はみんな平等だというような言説があるけれど、それは正しい。ただし一般的に想像するよりももっとずっと残酷なレベルにおいて正しい。
つまりは誰かのマイナスと誰かのプラスを全部まとめたらほぼきれいにプラスマイナスがゼロになるというだけの話で、各人がそれぞれ均等にプラスとマイナスを享受できるという意味での平等があるわけではない。物質的なプラスマイナスも、それ以外のさまざまな要素においても同じこと。

そしてもちろんのこと、プラスが集積していけばそれはプラスの引力を生むし、同じようにマイナスが集積していけばマイナスの引力が強くなる。螺旋階段は等しく続いている。ただ、片方は上へと際限なく登っていけるようになっていて、もう一方は底の見えない下のほうへずるずると降りていくだけの違いだ。